2025 第15回 景道山野草展

主催 遊々山草会
会期 2025年6月24〜29日
会場 神奈川県立花と緑のふれあいセンター花菜ガーデン
指導・解説 景道師範 柏木喜七郎(光楽園園主)

 景道とは、盆栽・水石界に多くの影響を与えた故・片山一雨氏が1980年に創始し、景道片山流とも呼ばれます。
 日本の伝統文化を踏まえ、床の間・屏風などの空間に、盆栽・水石・山野草・添景・掛け軸などを飾り、自然や季節感、ひいては心の安らぎを享受するものです。
 作品は持ち込みを重視し、表土に苔を張る、鉢をきれいにするといった基本から、添えの種類や主草とのバランス、掛け軸の物語に至るまで気を配り、景趣・品格・侘び寂びのある空間を演出します。

 
席主 鳥海 登 
主草 トクサ 高さ88㎝ 
水盤  萬留平 
地板  斑竹 
添え  鷺(草畦 作) 
掛け軸 塔(有井松雲 筆)
・滑らかではないごつごつとした苔の表情が長年の持ち込みを物語り、圧倒的な存在感を滲ませる。トクサのラインも多過ぎず少なすぎず涼しげである。鷺に見立てた添配が水辺を彷彿とさせ、小さく浮かぶ五重塔は席に奥行きを生み出し、スケールの大きな飾りともなっている。



席主 奥津和男
主草 筑紫唐松
鉢 和丸 
地板  斑竹 
添え  斑入りギボウシ 
掛け軸 花菖蒲(安藤吾路 筆)
・花3点の飾りであるが、主草は糸のように繊細な花容、敷板も薄く、軸もスリムで全体に軽妙洒脱。あっさりとした初夏の華やぎに好感が持てる一席。




席主 坂間輝男 
主草 十和田アシ 高さ62㎝
水盤 明山(信楽)    
地板  斑竹 
添え  三重塔(清水焼) 
掛け軸 バッタ(安藤吾路 筆)
・スッと立つアシ、その下半分を潔いほどにすっきりと仕上げ、余裕ある大きめの地板に飾ることでいっそうの涼感を誘う。初夏の爽風が心地よい。



ゆったりとした贅沢な席飾り



席主 沓澤一子 
主草 斑入りイタドリ 高さ31㎝ 
鉢  六角 
地板  舟板 
添え  姫風知草 
掛け軸 バッタ(安藤吾路 筆)
・舟板に飾られた主草は丈低く横に広がり、バッタの軸と相まって素朴な雰囲気を漂わす。身近な野原を散歩しているような、安らぎを感じさせる席。


席主 沓澤義治 
主草 斑入り両面シダ 高さ87㎝ 
鉢  和丸 
地板  留塗長板 
添え  お地蔵さん(蛍子 作) 
掛け軸 朧月(狩野探幽 筆)
・発色の良い鉢と大柄なシダの取り合わせが印象的。初夏の夕暮れに、地蔵様の優しいお顔に癒される






アンペラ  高さ94㎝ 工藤  平
・辰砂釉の水盤で腰水管理。草丈は1m以上になるが、10年以上の持ち込みでコンパクトに収まっている 


一席一席見応えがある。主草、添配、掛け軸、それぞれに想いを巡らせ、観る人なりの自然観が増幅される


席主 柏木喜七郎
主草 ミソハギ 高さ73㎝ 
水盤  和丸 
地板  留塗長板 
添え  木彫 蛙(一人 作)
掛け軸 燕
・静かに佇む痩せ蛙、颯爽と飛び去る燕。涼しげな初夏の水辺のイメージ。咲き出したひと茎のミソハギが今の季節を知らせてくれる。




 モウコヒトツバ  高さ16㎝ 鳥海  登
・ワイルドな石付き作品。自然味に溢れ、やや大きめな敷板との調和も見事



席主 下手鈴子 
主草 砂苔 高さ22㎝
鉢 黎鳳    
地板  斑竹 
添え  二重の塔 
・里山を彷彿とさせるすっきりとした飾り。静寂の苔は、長い持ち込みによって、たおやかな起伏を生み出し、雄大な景色。その末端は鉢からこぼれ、得も言われぬ表情を見せてくれる。














斑入り風知草  高さ39㎝ 奥津和男
・よく持ち込まれ、斑入り葉が溌剌とした景色を見せる。葉陰から覗くライトブルーの鉢色も爽やか



席主 工藤  平 
主草 ミズドクサ  フトイ  西湖アシ 高さ124㎝
水盤  寿悦 蕎麦釉丸 
地板  斑竹 
添え  蟹 
掛け軸 白鷺
・10年以上持ち込んだ3種の根洗盆栽。ミズドクサ単植にトクサを加えたのが7年ほど前、3年ほど前に西湖アシを挿した。西湖アシはよく増えるので、間引いてほどよい量に。陶製のカニ、白鷺の軸を配し、涼しげな水辺の情趣に満ちた一席。















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