2023年 第20回 所沢市山野草合同展



2023年 第20回 所沢市山野草合同展
三ヶ島山草会・草趣会・富岡山野草会・野老草愛会
会期:2023年6月17~18日

会場:埼玉県所沢市三ヶ島まちづくりセンター

実行委員長:志村 実


 節目となる20回の記念展を迎えることができました。全体としては持ち込み品あり、新規作品ありとバラエティに富んだ陳列となりました。ともあれ今回も遠方を含め多くの来場者のみなさんから温かいお言葉をいただき、山野草を通しての貴重な交流の場ともなりました。
 今後も山野草界のため所沢グループは頑張っていきますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。(実行委員長・志村 )

作品解説:中 隆



ギンバイソウ(アジサイ科)66㎝ 村山明人(野老草愛会) 鉢・安正 用土:赤 日光 日向

日照不足のせいか、やや間延び感があるのが惜しまれるが、ふんわりこんもりとボリュームがあり葉傷みなく鉢合わせもよく上出来の仕上がりである。あと2~3年はこのまま締めて作り込みたい。芽出し時はしっかり日に当て、4月中~下旬から遮光を開始するのがよく、花後の夏場は70%の遮光で葉を保全して来年に備えたい



ホタルブクロ(キキョウ科)37㎝ 加藤忠洋(三ヶ島山草会) 用土:赤 鹿 日光 

実生による作品で、日照もよくコンパクトに仕上がっている。手間はかかるが、植え込みではこうはできない。今後、株は鉢縁に偏ってくるので3年に1度は植え替えたい




サルナシ(マタタビ科)51㎝ 根岸三夫(三ヶ島山草会) 用土:赤 鹿 ※半日陰

木に芸がある点がよく、いいポイントによく実がついて見応えがある。このまま秋口まで持ち込みたい。ただし鉢が重い印象なので、深さを今の半分近くにしたい。そうするとぐっとよくなる

 

  

ヤグルマサワギク(キク科)48㎝ 高垣明枝(草趣会) 鉢・自作 用土:赤 桐

本種は北アメリカ原産のキク科植物でマーシャリアの名があり、山野草の風情に好感が持てる。作品は春先の日照不足のせいかやや間延び気味である。春から開花までは全日照で管理したい。注意点は夏越しで、風通しよく涼しく管理する。冬はロゼットで越冬し関東では耐寒性に問題はない



オトギリソウ(オトギリソウ科)42㎝ 木下清一(三ヶ島山草会) 用土:赤 

全日照による栽培で、赤から緑へのグラデーションが美しく最大の見どころ。ブルーの鉢がそれを引き立てており、もうひと回り小さければなおよかった。さもない草だが魅力十分である



モミジヒトツバ(ウラボシ科)57 ㎝ 中村澄隆(三ヶ島山草会) 用土:赤 鹿

よく肥培されダイナミックに仕上がったいい作品。残念なのは鉢合わせで、ゴツい印象が否めない。径はよいので、深さを半分にすると格が上がる




オカトラノオ(サクラソウ科)52㎝ 西久保正一(草趣会) 用土:日光 赤 エゾ 

よく持ち込んでおり、全日照で管理され全体のまとまりもよいのだが、もう少し花穂を上げたかった。鉢が小さすぎるため株に勢いが出ないので、一回り鉢を緩めれば改善されるだろう。なお、芽は年々鉢縁に偏ってしまうため、3年に1度は植え替えて調整が必要




ワタナベソウ(ユキノシタ科)60㎝ 佐藤伊津子(三ヶ島山草会) 用土:赤3 鹿2

半日陰で丁寧に管理され、独特な色彩の花に目を引かれる。鉢合わせはオーソドックスでいいのだが、焼き締め以外や、デザインを変えてみるなど、いろいろと研究するのも楽しみが増すだろう




ソバナ(キキョウ科)53㎝ 池田春一(三ヶ島山草会) 用土:赤3 鹿2

花の上がりよく、日差しに弱い葉を傷めることなくきれいに保ち、管理のよさが伺われる。残念なのはギボウシとの寄せ植えであるため花期であっても主役になりきれない点。両者のバランスを一考したい



アブラシバ(カヤツリグサ科)33㎝ 篠崎もと子(富岡山野草会) 用土:赤 日光 日向

締めて作りながらこれだけの花穂を上げるのは大変なこと。実生をよく取り込んでの、日照と肥料の賜物である。鉢合わせも決まっている。飛び込みのネジバナもアクセントとしていいだろう



銀針草(イネ科)35㎝ 大野さち(三ヶ島山草会) 用土:赤 鹿 日光

ヨーロッパ原産のフェスツカ グラウカ。いくつもの種類が知られる。作品は丁寧に作られている。今後は葉数、花茎の数を増やしたい。和名の通りシルバーがかった緑色なので、焼き締めもいいが瑠璃などの濃いめの釉薬鉢を合わせるのも面白いだろう




アキノタムラソウ(シソ科)63㎝ 酒井友三郎(三ヶ島山草会) 用土:赤 鹿 

持ち込みよく、下葉も枯れることなく丁寧に作られている。花の状態もちょうどよく展示のタイミングもよかった。瑠璃の丸鉢も適切で、トータルで完成度の高い作品 




シライトソウ(シュロソウ科)52㎝ 仲 せい(草趣会) 鉢・三代兼吉 用土:赤 日光 日向 

満遍なく花が上がって見応えがあり、初夏の展示会にふさわしいひと鉢となった。鉢映りもよい




ノハナショウブ(アヤメ科)98㎝ 志村 実(三ヶ島山草会) 用土:赤

植えて3年目、蕾も多くバランスのとれた季節感のあるいい作品であるが、やや日照不足のため間伸びしてしまい全体に弱い印象となってしまったのが残念。また、ふつう鉢こぼれはいい意味で使われるが、このコケに関しては一考を要したい



ホタルブクロ(キキョウ科)ミズヒキ(タデ科) 104㎝ 加藤悦子(三ヶ島山草会) 

用土:赤 鹿 十和田  

飛び込みであろうミズヒキが、ホタルブクロとうまく調和してくれた。もう少し薄い鉢ならばさらに観賞価値が上がっただろう。問題は今後で、このまま持ち込むとホタルブクロはミズヒキに負けてしまう。かといってミズヒキの根は強靭で容易く抜くことはできない。さてどうしたものか




ヒトツバショウマ(ユキノシタ科)26㎝ 濱野昌弘(草趣会) 用土:赤 日光 エゾ砂

全日照で管理され、持ち込みよく締まった姿で、花もしっかりと上がって鉢合わせもよい。昨年の夏以降の適切な肥培管理の賜物であろう。来春は鉢サイズを少し緩めるのもいいかもしれない



フウチソウ(イネ科)50㎝ 田中利夫(三ヶ島山草会) 用土:赤3 鹿2 ※半日陰

肥料がよく効いているのだろう、満遍なく旺盛にきれいに仕上がっている。この調子で水切れさせることなく、秋の紅葉まで美しさを保ち続けてほしい



アワモリショウマ(ユキノシタ科)32㎝  中 隆(野老草愛会)鉢・三代兼吉 用土:日光 十和田 日向 

春から開花までは全日照で締めて作ること。日が弱いと組織が柔らかく間伸びしてしまう。6月より50%の遮光とし、花後と秋口にしっかり肥培する。花・葉・鉢のバランス、赤い茎の効果、花茎の高低など、われながら理想的な仕上がりとなってくれた



※2024年 「第21回 所沢市山野草合同展」は 10月5日(土)〜6日(日)三ヶ島まちづくりセンターにて開催予定です



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